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【Africa Daily】カーボデルガード州に戻るのは安全か?

2021/10/04

Africa Daily シアタールーム モザンビーク ルワンダ

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【モザンビーク】カーボデルガード州に戻るのは安全か?
(Unsplash)

今日のエピソード


BBC World Service - Africa Daily, Is it safe to go home to Cabo Delgado?

Cabo Delgado in Mozambique has been decimated by war. When is it safe to return there?

モザンビーク・カーボデルガード州では過去4年にわたり、「アル・シャバーブ」を名乗るイスラム過激派による暴動、誘拐、斬首等が横行している。昨年には一段と状況が悪化し、数十万人が家を失う事態となっている。しかし事態は転換しようとしている。7月に南アフリカ、ボツワナ、タンザニア等アフリカ諸国による支援により数千名の兵士が派遣され、占拠されていた街を奪還している。しかし街は廃墟だ。政府関係者は、街は安全で住民は帰還できるというが、それほどすぐに?いつカーボデルガード州の住民は家に戻れるのか?

2017年の暴動勃発から報道を続けているモザンビークのジャーナリストに聞く。

「カーボデルガード州には貧しい州都ペンバと、車で500キロ離れたところのLNGプロジェクトを擁する町パルマがあります。」

LNGプロジェクトは国際エネルギー企業により開発され、カーボデルガード州の経済と雇用にとって極めて重要だ。しかし、12月には暴動及び州の脆弱なインフラが状況改善に繋がらないことから、国際エネルギー企業は撤退せざるを得なくなった。

「一本道では、武装派が掌握すればある地域へのアクセスは失われます。また、学校や病院等のインフラも脆弱で、例えば発電所を一つ破壊すればその地域の電力が失われます。それが武装派の手法なのです。一方、貧しいカーボデルガード州で高額なプロジェクトを受け入れており、人々の生活スタイルの変化に繋がっています。貧しかった人が高い車を乗り回すようになっています。それが武装派の台頭にもつながっているのです。」


政府はカーボデルガード州について何と言っている?

「政府関係者間の連携は取れていません。警察幹部はペンバ北部のキサンガ迄戻れると言っており、人々は家に戻り始めています。しかし大統領は官僚による指示の誤りと言っています。」


なぜ人々は戦禍の中家に戻ろうとするのか。ペンバの住民が語る。

「私は戦禍を逃れてパルマ近郊から来ました。家から何から全て失いました。子供も2人失くしました。人々の助けでペンバ迄来ましたが、彼らが自分の土地に帰るべきだと言っているのは理解できます。パルマに帰りたいのですが、安心はできません。第一に治安がありません。私は全てを犠牲にしており、これ以上のリスクは取れません。パルマでリスクを取るより、ここで他人の家に世話になりたいのです。パルマで魚を取って暮らすのは良い生活でした。ここでは他人の世話になりますが、パルマに治安が無い限りここにいたいのです。政府はパルマの治安が回復されたことを正式に説明する必要があります。それが無い限りペンバに残ります。」

「私はモシンボア・ダ・プライアから来ました。戦禍を逃れてペンバに逃げてきました。妻や子供と一緒に他人の家に暮らしており戻れるなら家に戻りたいですが、戻る前に状況が改善していなければいけません。病院や学校の建設などですが、重要なことはこの暴動が終わったのかどうかです。家の戻った翌日にまた逃げてくるのか?政府が戻れると言ったとき、争いは終わっていなければいけません。教師や医師が戻るのを見て、安全と言えるのです。」


しかし、ジャーナリストは安全とは見ていないようだ。

「もちろん違います。4年の暴動を2か月で鎮圧できるはずがなく、人々が安全に戻れる状況ではありません。モザンビークはルワンダ等外国からの軍派を受け入れましたが、もうしばらく影響を見極める必要があります。しかしモザンビーク政府には市民を保護する明確な施策が無いのです。市民は、政府が武装派と交戦しているのを見て政府は市民を保護できないと考えています。政府は市民のことを考慮していないと思っているのです。」


外国からの部隊は武装派を上手く対処しているのか?

「成功しています。以前は武装派が政府軍を掃討していましたが、今は流れが変わっています。しかし、例えばルワンダ軍は犠牲者数を公表していません。どのように成功しているかはわからないのです。先日も17人の武装派が死亡したと発表されましたが、市民も1人死亡、3人負傷です。ルワンダ軍には透明性がありませんが、市民にとっては重要なことなのです。全体としては良い傾向になっていますが、人々が帰還するには十分ではありません。」

土地を失った住民は戻った時土地を取り戻すことが出来るか?

「そうならないといけません。それが武装派と戦う理由です。モザンビークは他国と同じように移動の自由があります。しかし教育も乏しく安全を求め同じ土地にとどまる人々のことなのです。外国軍による武装派掃討が成功したら、その時には人々に元の土地に戻るよう仕向けることが重要です。さもなければ、その土地から人々がいなくなってしまいます。」

「加えて重要なことは、地元住民はLNGプロジェクトからの恩恵を受けることが出来るのです。散らばってしまっては、LNGプロジェクトの巨大投資がもたらす雇用やビジネス等の機会の恩恵を得ることはできません。」


カーボデルガード州の今後はどうなるのか?住民はいつ戻れるのか?どのくらいかかるのか?

「カーボデルガード州の将来を語るには、この暴動の根本的原因に触れる必要があります。急進化もさることながら、この地域の貧困・腐敗といった政府の統治力不足も主要因です。治安問題の解決だけでなく、統治力の見直しが無ければモザンビークは好転しません。必要なことは、市民に認められる正当な機関です。例えば、市民を守る警察です。治安回復は最初の一歩にすぎません。治安無しに発展はないからです。しかし、その後は統治力の見直しが必要です。海外からの武装派の流入を防ぐためにも、今の時点で政府や指導者による大きな変革への公約が必要です。武装派はイスラム国の支援を受けていますが、政府の統治力の欠如に問題があるのです。」


モザンビーク政府からの反応は得られなかった。

アフリカにおけるルワンダ軍の存在感

本日の記事にもあるように、モザンビークの武装派掃討にまず派遣されたのはルワンダ軍です。英フィナンシャルタイムス紙にも、モザンビークにおけるルワンダ軍の記事が掲載されています。


Rwanda flexes muscles in fight against terror in Mozambique

A rare dispatch from the frontline shows how Kigali has turned around conflict that held up Total LNG project

記事によれば、ルワンダは人口1,500万人に対し3万人の兵力を擁し、その1割が海外に派兵されているとのこと。そのうちの1,000名がモザンビークに派遣され、モザンビーク軍4年かかっても制圧できなかったところを数週間で掃討したというのです。

しかしなぜルワンダ軍が?モザンビークとルワンダには国境で接するところはありません。武装派の直接の脅威はないはずです。記事では、フランス企業も参加しているLNGプロジェクトに関し、ルワンダがフランスから5億ユーロの支援を受けていることを指摘していますが、ルワンダの大統領は関連を認めていません。

それにしても、ルワンダ軍は4週間で100名以上の武装派を殺害、軍側の負傷者は4名であったとのこと(市民の犠牲者は触れられず)。ルワンダ軍の戦闘能力の高さはどこから来ているのでしょうか?ルワンダは軍事能力も高く軍事費はアフリカ諸国の中でもGDP比高率となっており、ボコ・ハラムと戦うナイジェリアの2倍以上の1.4%を示しています。高度な武装を備え、地元モザンビーク軍幹部にも「ルワンダ軍は自らより優れている」と言わしめてしまいます。

ルワンダが軍事力を強化している理由、記事ではルワンダが大虐殺の過去を経て国家としてのイメージを改善しようとしているとの声を紹介しています。しかし、その一方で映画「ホテル・ルワンダ」のモデルになった男性は先日懲役25年の判決を受けており、過去との決別は一筋縄ではいかないようです。


ホテル・ルワンダ : 作品情報 - 映画.com

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BBC Soundsで配信されるAfrica Dailyのエピソードを聴いて、英語ヒアリングの練習と一緒にアフリカの出来事に目を向けてみる記事。平日毎日配信されるエピソードをなるべくカバーするよう頑張りますが、無理のない範囲でやります。また、エピソードに関連する情報や気になることも合わせて付け加えます。

なお、記事の内容はエピソードを個人でヒアリングの上あるだけの知識で意訳しているもので、誤訳や解釈だらけかもしれません。これらから生じるいかなる不利益にも責を負いません。

また、エピソードの配信期間は配信初日から1年です。


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