【映画】エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス-A SMALL CASTLE

こういう映画はどのように捉えればよいのか難しい。まさにストーリーもアクションも、異次元アクション映画なのだが、オチが家族愛みたいなのって・・・どうせここまでやるなら、最後まで異次元とかマルチバースな感じだと良かったのにと思うのです。

で、この映画がどんなストーリーかというと、これまた説明が難しいのですが、端的にいえば、コインランドリーを営むミシェル・ヨーが実はマルチバースと呼ばれる異次元宇宙を行き来することができ、これまたマルチバースを行き来する悪者、しかも実は悪の親玉である自分の娘と戦いながらマルチバースを浄化、そしてバラバラになりかけていた家族の絆も取り戻す、といった感じでしょうか。なんとなく「マトリックス」みたいな話なのですが、マトリックスの世界観を超越、脳まで破壊されるような世界観、というか宇宙観で話が進みます。で、結局家族愛なワケ？ということなのですが・・・

全編でSFアクションとマルチバースの宇宙感が炸裂しており、コインランドリーとマルチバースの対比やステファニー・スーが演じる悪の親玉との愛憎が激しいアクションとコメディタッチで描かれます。映画はSF、アクション、アメリカの閉塞感、家族愛の融合がうまく描かれているということで評価も高くなっています。

この映画の見どころの一つは、ジェイミー・リー・カーティスの奔放ぶりかも。彼女といえば、「トゥルーライズ」で実はスパイのアーノルド・シュワルズネッガーの妻役で、最初は知らないのに最後は一緒に戦ってしまう、これまた突拍子もない役だったことを思い出します。今回は税務署職員かと思いきやミシェル・ヨーを執拗に攻撃する役となり、結構激しい戦いを繰り広げます。それにしても税務署職員役のハマりぶりも凄まじく、登場した時点ではジェイミー・リー・カーティスであることに気がつきません。

そして、正直見ているときは気がつかなったのですが、ミシェル・ヨーの夫を演じていたのは、ジョナサン・キー・クァン。またの名をキー・ホイ・クァン。中国系ベトナム人でアメリカの俳優、しかし彼が最も知られているのは「インディー・ジョーンズ／魔宮の伝説」でハリソン・フォード演じるインディ・ジョーンズの相棒を務めた少年であり、その翌年には「グーニーズ」で発明が趣味の少年、と実は1980年代を代表するスター子役だったのです。「魔宮の伝説」は素晴らしいインディ・ジョーンズシリーズの中でも最も秀逸と思う一作、そしてその中でも主役というくらいの活躍をした少年が彼だったとは、今や見る影もないかと思いきや、本作でも披露していたアクロバティックな動きの片鱗が、過去の作品にもあったかもしれません。

それにしても、マルチバースを繋ぐ装置がベーグル。なぜベーグルなのか？しかもブラックベーグル。この装置は「Everything Bagel」、つまり「ベーグル全部入り」ということ？悪の親玉が言っていましたが。そして全てを吸い込んでしまうブラックホールならぬブラックベーグル。具全部入りのベーグルは、マルチバースの全てを飲み込むベーグルという世界観に置き換えられたのかもしれません。そういうアメリカンジョーク？ベーグルを食べる生活ではないのでわかりませんねえ・・・