【映画】オフィシャル・シークレット-A SMALL CASTLE

米英のイラク侵攻に関わる国家機密を漏らしてしまった女性の法廷闘争を描く、実話をベースにしたドラマ。国や警察からの圧力やトラブル、それに立ち向かう主人公や正義を追求する支援者の活躍、と筋としてはありがちですが、最後まで目が離せない秀作です。

主人公の女性はキーラ・ナイトレイ、スクープを掲載する日曜紙の記者にマット・スミス、人権派弁護士にレイフ・ファインズなど、イギリスの代表的な俳優が集結。レイフ・ファインズは００７シリーズでMを演じていますが、実際の諜報機関は００７のようにミステリアスではく実務的、そこで働く職員も普通の人たちです。そして正義感から起こしてしまった出来事とその後の展開から法廷闘争まで、とそういえば映画「ア・フュー・グッドメン」と同じような雰囲気を感じさせます。

なお、この映画では特に派手なアクションもストーリーの仕掛けも無い上に、実際の法廷は呆気ない終末を迎えますがこれも事実通りで、それでも「事実は小説より奇なり」ということか、ストーリーと名優の好演に引き込まれます。主題だけでなく、主人公の夫の在留問題など、移民も多く多様化しているイギリスの社会問題にも光を当て、ストーリーに深みを与えています。

それにしても、イギリスの法廷では判事・弁護士はカツラをつける伝統があることを思い出させます。カツラをつけたレイフ・ファインズを一瞬「誰だっけ？」と思わせてしまいます。権威の象徴としてのカツラと法衣ですが、2008年には民事裁判を中心に廃止・簡素化されたとのことです。温暖化も進むと、夏は暑そうですね。