【映画】運び屋-A SMALL CASTLE

ブラッドリー・クーパーもクリント・イーストウッドの前ではコーヒーを飲んでしんみり。

クリント・イーストウッド主演・製作・監督という、イーストウッドらしい作品です。原題の「The Mule」はそのまま訳すと「ラバ」ということになりますが、スラングで「運び屋」の意味があるとのことです。

ストーリーは、時代遅れで職も失った老人が麻薬の運び屋に足を染める、という明るくもない話なのですが、全体的には軽い感じで悲壮感もなく、仕事として淡々と荷物を運ぶ老人と、それに良い意味で巻き込まれていく周辺人物との関係が描かれています。

このような仕事をしていて最後まで淡々と、というわけにはいかないのですが、それでも最後まで次につながる希望の灯が消えないのは、この映画の優しいところなのかもしれません。

そうは言ってもクリント・イーストウッドも結構ないい歳なわけで、映画の優しさも「クリント・イーストウッドも歳をとったなあ」と感じさせてしまうからとも言えます。この映画には、「ダーティー・ハリー」のような邪悪さは、周辺も含めてほとんどありません。

【映画】ダーティーハリー

説明するまでもなく、刑事アクションの名作。現代アクション映画の素のような映画かも。

その一方、話の10年前から始まるのに、10年後に話がすすんでも10年経ったのかよくわからないのは、10年の月日が関係ないくらいクリント・イーストウッドが老けてしまっているから、とも感じられます。実際、撮影時にはすでに90歳弱に到達しており、役柄も90歳なのですがもはやどのシーンでも年齢不詳になっているのは、流石にちょっと残念というかなんというか・・・

脇役たちは、「マトリックス」のローレンス・フィッシュバーン、「アンタッチャブル」のアンディ・ガルシアなど、違う映画が目の前に見えてしまいそうな俳優たちが名演技を披露しています。そして、「ハングオーバー！」でハングオーバーしていたブラッドリー・クーパーが麻薬捜査官。クリント・イーストウッドとコーヒーを飲みながらしんみりしています。