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GlideとAppSheetを比較、どちらにする?

2021/06/07

Appsheet Glide

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GlideとAppSheet、どちらにする?
(写真AC)

最近ノーコードアプリケーション開発が注目を集めているようです。プログラミングの技術がなくても、直感的にアプリを作成できる画期的なツールとして、多くの人が利用を始めています。

ノーコードのプラットフォームもいくつもリリースされていますが、何が違うのでしょうか?このサイトではAppSheetを使った在庫管理や旅行の記録アプリをご紹介していますが、他のプラットフォームと違いは何でしょうか。

ここでは、AppSheetとノーコードのプラットフォームの代表であるGlideを比較して、それぞれどんなメリット・デメリットがあるのか考えてみました。

Glideとは

ノーコードツールの中でも最近注目を集めているGlideは、Googleスプレッドシートなどをデータベースとして活用するノーコードツールです。簡単な操作性と多くのテンプレートで、簡単にウェブアプリを作ることができるとされています。同じようなツールとして、AdaloやBubbleといった名前も聞きます。また、企業内業務アプリ開発としてはマイクロソフトのPower Appも同じ種類といえます。

なお、サイトはGlideドットコムではなく、Glideappsドットコムですので要注意です。


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AppSheetとは

AppSheetはGoogleが提供するノーコードアプリ開発環境です。2014年に設立、開発開始され、2020年にGoogleに買収されています。

AppSheetはGoogleスプレッドシート等のスプレッドシートをデータベースとしてアプリ開発を行います。Googleスプレッドシートにはアドオンとして組み込まれており、Googleの各機能との親和性が高いのが特徴です。そうは言っても、Excelなど他のスプレッドシートやSQLなど他のデータソースも使うことができ、汎用性は高いです。


AppSheet : mobile apps from spreadsheets :

The intelligent no‑code platform Reclaim your time and talent with no-code apps and automation

GlideとAppSheetに共通の特徴

それぞれに特徴がある二つの開発ツールですが、同じ特徴と思われる点をいくつかあげておきます。

  • 基本的にノーコードでアプリを作ることができる。
    ノーコードツールなので当たり前のことですが、いずれのツールもアプリの機能はノーコードで作り上げることができます。簡単なものであれば、数式や条件設定もする必要がありません。
  • アプリは5分でできる。だが、使いたいアプリは5分ではできない。
    キャッチコピーの通り、データベースとなるスプレッドシートを用意してボタンを押せば5分(以下)でアプリを作ることができます。しかし、5分でできるアプリは基本的な機能だけが備わっています。これだけでも十分に使えるアプリですが、もう少し機能を付け加えようとすると、それなりの時間と手間がかかります。
  • 基本的に英語のプラットフォーム。
    いずれのツールも日本語環境はありません。日本語で解説しているサイト等はありますが、各機能メニューやヘルプ、エラーメッセージもほとんどが英語で表示されます。
  • 最初は無料、より便利な機能は有料。
    どちらもサインアップは無料でできます。AppSheetは無料でほとんどの機能を使うことができますが、オートメーションのスケジューリング(毎日定時にメール配信する、など)といった便利機能が有料です。Glideは一部機能は有料プランのみで利用できます。Glideの料金表では、Personalの次がProになっていますが、その間にBasicがありますのでご注意ください。

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では、次にGlideとAppSheetの利点を、一方が他者に優っている点を中心に見ていきます。

Glideが便利なところ

PWAを作成できる

Glideは無料版でもPWA(Progressive Web App:ウェブでネイティブアプリのように動く技術)を作成することができます。AppSheetはデプロイすることによりアプリを配布することができますが、稼働させるためには携帯端末にAppSheetアプリ(ホストアプリ)をインストールする必要があります。このホストアプリが個別のアプリを動かすプラットフォームとなるのですが、アプリをインストールする必要があるのは便利とは言えません。さらに、AppSheetでは、複数アプリを展開する場合にはホストアプリ内で切り替える必要があるので、これも面倒です。

なお、AppSheetでは、Coreライセンス10個以上の取得したユーザーはネイティブアプリ(ホワイトラベルアプリ)を作成、配布することができるとしています。ちなみにCoreライセンスはUSD10/人/月ですので、ライセンス10個で月USD100ということ。ちょっとそこまでは・・・

テンプレートやUIが綺麗

AppSheetと比較すると、GlideのテンプレートやUIは綺麗だと思います。というか、携帯端末で表示されるべきUIのレベルです。AppSheetも悪くはないのですが、アプリ画面の見やすさ(それっぽさ)はGlideの方が良いと思います。

GlideのUI

AppSheetのUI


ユーザー管理機能に優れている

これは便利な機能です。ユーザーによって画面の表示を変えることができます。例えば、管理者と一般ユーザー、管理職と一般社員、先生と生徒、といった具合で、メールアドレスなどの情報を閲覧できる人を区別できます。同じ画面を見ているようでもユーザーによって表示内容を簡単に変えることができます。

また、プレビューのユーザーごとの切り替えも容易です。ワンクリックでどの異なるユーザーのプレビューを見ることができます。AppSheetも切り替えることができますが、メールアドレスを入力する必要があり、手間がかかります。

決済連携機能がある

必ず使う機能ではありませんが、GlideはStripeと連携しており、アプリ内に決済機能を組み込むことができます。ECアプリの作成には役立つかもしれません。ただし、Stripeの手数料とGlideの手数料(無料版は決済金額の10%)の両方が徴収されますので、それなりにコストがかかります。

AppSheetでは、用意された決済システムとの連携はありません。連携するには自分でセットアップする必要があります。

AppSheetが便利なところ

スプレッドシートライクな設定ができる

テーブルのそれぞれの項目に対する設定は、AppSheetの方が細かく指定できます。関数も算術関係だけでなく制御や参照など、まさにスプレッドシートのように充実しており、Excelの数式や関数を駆使するように、AppSheetの各テーブルの値や動きを操作することができます。Glideも工夫をすれば思ったより多くのことはできる印象ですがそれでも限界があり、これがGlideでアプリを作成する限界にも繋がっているように思います。

なお、AppSheetはエラーメッセージやヘルプもよくできており、項目の型、数式や関数が間違っていても原因追究が比較的容易です。Glideはヘルプも簡単な説明しかなく、解説にあるサンプルも実際にどのように動くのか、読んでもすぐにはわからないことがあります。

Excelも使える

AppSheetはデータソースとしてGoogleスプレッドシートだけでなくExcelも使えます。さらに他のソースも読み込むことができます。

Glideは、現時点ではデータソースはGoogleスプレッドシートのみ、もしくはGlide内にテーブルを構築することになります。ほとんどの業務用スプレッドシートがExcelで作られているであろうことを考えると、これはAppSheetの大きなメリットでしょう。

オートメーション(ワークフロー)でのアクション設定も便利

AppSheetのアクション(ボタンを押した時の挙動など)設定は、条件分岐やその後の挙動の定義などが柔軟にできます。フォームの遷移や他のテーブルのデータ更新など、ちょっとした機能を持たせるときにも、こうしたことができるかどうかは重要です。

Glideでもアクション設定はできますが、条件分岐の位置が変えられない(アクションの最初だけ)、挙動も種類が少ない、といった制限があります。これがもう少し動くようにしたい、というところで不便だったりするのです。

機能は豊富

用意されている機能は豊富です。データベースとして受け入れるデータソースの種類も多く、手元のデータですぐに始めることができます。また、バーコードリーダー(Glideにもある)、機械学習、さらにGoogle AIまで、Googleグループらしい機能が満載です。ただし、多くの機能が有料パッケージのみなのですが・・・それでも、無料版でも十分に高度なアプリを作ることができます。

一方、Glideには他パッケージとの連携としてZapierが挙げられます。Zapierと連携することにより、メール配信などの機能を追加することができます。問題は、Zapierもある程度の機能を得るには有料になるということ。色々組み合わせると、結構課金される気がします。

モニタリング機能も充実

作ったアプリの動きを確認するエラーチェッカーやオートメーションモニターが用意されており、アプリが想定通りに動かないときも原因究明が容易にできるようになっています。開発時間短縮にはぜひ必要な機能です。

Glideはこうした機能があまり用意されていないように思います。予定通りの動きにならないときに、原因となるポイントを見つけ出すために多くの想像とトライ・アンド・エラーを繰り返すことになります。

GlideとAppSheet、どちらにするか

このように、Glide・AppSheet双方にメリットとデメリットがあります。有料版にするなら費用もかかりますので、どのような機能があるのか、利用開始前にチェックしておく必要があるでしょう。

実際に使用してみた感触では、

  • Glideはスプレッドシートの情報を綺麗に表示する
  • AppSheetは無骨な顔つきでデータ加工や動きのあるアプリが得意、データソースの対応種類が豊富
といったところでしょうか。Glideはそうは言っても工夫次第でいろいろできますし、有料版になればさらにこう機能になりますので、それならば見やすいUIの方がいいとも思います。

当たり前ですが、アプリの目的や仕様に応じて使い分けるのが良いのでしょう。ぜひ、どちらの開発プラットフォームも使ってみてください。

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